世界の万華鏡

万華鏡は世界を映し、地球を回る!

 

 万華鏡は世界各地で作られています。特に美しく、アイデア豊かで楽しい万華鏡はアメリカと日本でたくさん作られています。アメリカはおもちゃからアートへ変身した地で、小生が90年に万華鏡と出会ったのもアメリカ・ハワイでした。1996年、ニューヨーク州コーニングで開かれた万華鏡愛好家団体「ブリュースター・ソサエティ」のコンベンションに参加した時に、たくさんの万華鏡作家と出会ったのですが、その時に気に入ったのが、ボブ&スー・リオー夫妻(その後離婚しました)の全世界20台の限定で、オーダーメイドになる「白鷺」と名付けられた万華鏡。この万華鏡が日本万華鏡博物館に届いたのが、1年以上経つてから。時間はかかりましたが、その出来栄えには十分納得。白鷺のステンドグラスが両面に飾られ、先端のドラムを回します。覗きながら回すのがキツイぐらいの長さ55Cm。覗き窓は3つ。2ミラーの円形映像、3ミラー(2等辺3角形)の無限映像、4ミラー(菱形)の中心円が2つある映像と、それぞれのミラーシステムで違う映像が楽しめます。ドラムには、光の当たり方により、色を変えるダイクロイックガラスを使い、朝と夕方では微妙に色を変えて反射していきます。

 

21世紀、最先端のアメリカ製万華鏡!

 

 2011年5月、アメリカ・ケンタッキー州北部の街コビントンで、ブリュースター・コンベンシヨンが開かれました。コビントンの川をはさんで対岸が、大リーグ・シンシナティ・レッズの本拠地であるシンシナティ市です。泊まったホテルの対岸に野球場があり、レッズが勝った時には花火があがっていました。今回、3・11の大震災に対し、アメリカの万華鏡作家たちが支援をしてくれることになり、御礼を伝えるため、6年ぶりに参加することにしました。ベアーズ・スコープを作ってくれるチャールズ・カラディモスとマーク・ティクルの2人の最先端の万華鏡を紹介します。

 チャールズ・カラディモスは繊細でやわらかなイメージを持った万華鏡を作ります。ジュエリー・デザイナーでもあり、ハリウッド女優の御用達ショップであるNY5番街のハリーウィンストンで、約1000ドルのペンダント万華鏡を置いていたことも。今はブリュースター・コンベンションの世話役でもあります。ゴルフ大好き人間でもあり、コンベンション会場を探す時のひとつのポイントになるのが、近くにゴルフ場があるかどうか、とか。

 2ミラー映像の作品が多く、全てが自身による手作りのため、限定数になり、30点限定という場合もあります。作品全体が優しい感じがするのは、人柄からか!

 ミラーワークで新しい万華鏡作りにチャレンジしているのが、マーク・トウィクル。彼の作品は、えっこれが万華鏡! と叫ばずにはいられないものが多い。ミラーの組み方を駆使した作品作りには、見る人をビックリさせてやろう! という意欲にあふれています。次々に生みだされていく新しい万華鏡に、進化した、今までのものとは違う万華鏡の世界を作ってくれるファーストランナーの気概も感じられる作品です。

 

☆カラディモスとマークの2作品は、日本万華鏡博物館の収蔵作品ではありません。

 

 フランスの香り!フランスのアプレ・ラ・プリュ社の万華鏡。マーブル・ペーパーを巻いたのが特徴だが、外観だけでなく、覗くとちょっとシックなフランスの香りがする万華鏡になつています。

 ドイツの質実さ!木で作られたごくごくシンプルな万華鏡はドイツ製。質実剛健を万華鏡にするとこうなるのかもしれない。余分な物は一切いらない、しかし万華鏡としての質も実もきちんとしている。まさしくドイツの万華鏡といえるものです。

 タータンチェックはイギリス製!イギリスはおもちゃの万華鏡がたくさん作られています。ちょっと野暮ったい感じがしますが、壊れにくく、しっかりした作りが特徴です。万華鏡誕生の地スコットランドの万華鏡がないのが残念ですが、イギリス連邦の子供たちは、こういう万華鏡を手にして、世界に目を向けていたのかな?

 インドの街角で売られていた手作り感100%の万華鏡! 四角い筒に、ろうそくの炎と、花がデザインされた万華鏡です。こういうものがある! というだけで、嬉しくなってしまう万華鏡です。

 南米ペルーのフォークロア !民族音楽が聞こえてきそうな万華鏡です。ペルー製の万華鏡ですが、買ったのは横浜中華街の雑貨屋さん。中華街に南米がある、というのも不思議な話ですが、中華街は世界中どこにでもあるので、不思議ではない、といえばそういう気もします。しかし南米のおもちゃが日本にあるというだけで、感激ものの万華鏡です。筒に巻いたアンデスの織物が、万華鏡を魅力あるものにしてくれています。

 上海万博と上海テレビ塔で見つけた万華鏡!左の2本は上海万博のメモリアル万華鏡。パンダの隣りは公式キャラクター。とても暑い中、各国パビリオンは3~4時間待ちは当たり前という、長蛇の列で入れず、これを見つけて、ようやく万博に来た甲斐があった! パンダのテレイドスコープは上海豫園の土産物店で。1本50元(約650円)といわれたものを2本50元にしてもらい買いました。その雑踏から少し離れた小さな店で、なんと1本5元で売っていました。ウーム、ここは中国だ!その隣が上海テレビ塔の展望室で見つけたもの。万華鏡があるなんて思ってもみなかったので、まさに天にも昇る気分。右2点は北京の土産物だが、6角形の万華鏡はちょっと古いタイプ。中国にはもっと古いアンティークのものがあるはずだが、アンティークショップにもない。400年、500年経たないとアンティークとは認められないお国柄。100年や200年ではアンティークと呼んでもらえないのだろう。でも今後、19世紀の中国製万華鏡が出てくることを願っています。